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仕事でLas
Vegasに来ています。街全体がテーマパークのようなこの町は歴史も生活感も人情も感じられなくて、いつになっても本心から好きにはなれないけれど、テーマパークなのだと割り切れば楽しめる町なのだろう。とか言って、評論家気取りでいたのもつかの間、Bellagioの前の噴水+音楽のアトラクションは新しい芸術と呼んでもいいかな、などとすっかりマーケティング側の勝利、ひろしの敗戦受諾。 気張って当日予約したBellagioの中のえらく値段の張るレストランに恐る恐る入ってみると、やはり値段は高い。 グラスワインがなんと15ドルから30ドルもする。 本日はビジネスパートナーを接待するということにもなり、あまりけちけちもできない。 ホテルは場末の一泊45ドルなんて怪しげなところにとまっているのに、3人で1回食事してその10倍も払うなんて普通の僕には到底考えられませんけど、やっちゃいました、思い切って気前良く。 そのレストランを選んだわけはこの人気の観光スポットである噴水+音楽のコーナー(といってもどでかいけど)をおりしも襲ってきた悪天候をさけて室内から優雅に鑑賞しようとしたわけです。 ところが、せっかく席に案内されると、今日は悪天候のため、噴水が道路を濡らすので、中止、とのこと。 が〜ん! だって、だって、500ドル近くも払うことになるんですよぉ〜! だって、だって、せっかく接待に使おうと思った演出が中止なんて、ひどいよ〜、ひどすぎる〜、もう接待も中止、というわけにはいかない。 ここで笑顔が硬直していてはその500ドル近い投資も無駄になる。 顔で笑って心で泣いて、泣きましたよほんと。 さて、注文でもしようとメニューを開けると目に飛び込んでくるシェフお勧めの料理は北京ダック80ドルとか、車えびのなんとか50ドルとか、グラスワイン30ドルとか、気が遠くなりそうなメニュー。 ここでびびってはだめ、ひるんではだめ。 せっかくのアトラクションは中止ですが、まぁ、今夜は心置きなくごゆるりとおすごしくだせぇまし、まずは車えびのダンプリングやらシェフおすすめの前菜などはいかがでしょう? 北京ダックなんてぇのもいかがでしょう? ワインもいろいろとお試しください、などと大見得を切る。 お〜、つらい。 まぁ、料理はそりゃそこそこ結構でしたよ。 なかなかのどをとおりませんでしたが。 それでもワインなどをいただけば気分もほぐれ、じょじょに矢でも刀でももって来い的なやけくそな気分が高揚してきて、多少気が大きくなってきている自分を感じてくる。 あ、贅沢ってやってみるとなかなかけっこうなもんですね、みたいな気分が襲ってくる。 まぁ、いつもじゃないけど、たまには贅沢もいいよね、なんて、いいたい気分が満ちてくる。 あたらしい靴下なんかもう何年も買ってないのに。 そのころ表を吹き荒れていた嵐がなぜかぴたっとやみ、すっかりあきらめていた噴水+音楽のアトラクションが突然始まった。 騒然とするレストランの客たちが、イブニングドレスのすそを踏みそうになったり、もうほとんど丸出しの胸の山や谷間をゆさぶりながら窓辺に殺到する。 レストラン内は一瞬ほとんどパニック状態。 しかし、そこで静かに流れ出したメロディーななんとあのサラ・ブライトマンとなんとかいう男性歌手のデュエットのTime
to say goodbyだったのだ!曲にあわせて踊りまくる噴水の大迫力、Conte
partiro、あなといっしょに旅発ちたかったと切なく歌うサラの歌声、けちけちした気分もぶっとんだ結構おいしいワイン、それにいっしょに感動してくれた同席のかたがた、突然Best
Timingでやんでくれた嵐、ありがとうみんな、生きていて良かった、たまには贅沢もいいもんだ、あんまりやりたくないけど、もったいないから。 サラにつづいてはパバロッティが歌うオペラ、トゥーランドットの「寝てはならぬ」。 感動の波がさらに高まる。 あわやの大惨事が、取引先の満足と、同行の社員の感動とになって無事軟着陸。 終わりよければすべてよし。 すべて許す。
![](2007-4-14 hk - Las Vegas Bellagio fountain1.jpg)
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